先日香港に本部があるカドーリファームにお邪魔しました!

去年カンボジアの野生動物保護団体ACCBを取材しましたが、その時にACCBのマークに紹介していただいたのがカドーリファームの中国チームでした。
今回はカンボジアで出会ったメンバーには会えませんでしたが、香港にいた他のチームメンバーの方々にお話を聞き、施設を案内していただきました。

Kadoorie Farmとは

正式名称 Kadoorie Farm and Botanial Gardens は香港に拠点を置く環境保護NGOです。1956年に当時はKAAA(移民達にサステナブルな農業を教える団体)として発足しましたが、後に環境保護の重要性に気づき方向性を変えて活動を続けています。

広大な敷地の大部分はいまだにサステナブルな農業のために使われています。学生たちの学びの場になったり、採れた作物を敷地内のギフトショップで販売しています。

Kadoorie Conservation China (KCC)

KCCの方々とSAMSARAの二人

香港・中国本土での環境保護や絶滅危惧種、野生動物の保護を行うのはKadoorie Conservation China というKFBG内の別チームです。私たちがカンボジアでお会いしたチームもこのKCCの一員でしたし、今回お話を聞けたのは香港本部にきていたKCCチームの方々でした。

香港本部にも動物の保護施設があります。野生動物のリハビリとリリース、あるいはリリース不可能な個体の終生飼育を行っています。

香港といえば高層ビルがそびえるグローバルな都市というイメージですが、実はとても自然豊かで野生動物も豊富です!
KCCが本部で保護する動物は怪我や事故で持ち込まれる、あるいは香港・中国で行われる違法取引時に没収した個体です。

違法取引で没収したエキゾチックな野生動物はなるべく元の国に返してリリースしますが、すでに衰弱していて不可能な場合は本部でケアをします。

開放感と緑多い爬虫類専用の施設

こちらはミズオオトカゲの飼育スペースです。写真中央右寄りにワニっぽい後ろ姿が見えますが、かなりの大きさでした!
動物が棲む本来の環境に生えている植物などを植えて、なるべく自然な環境に近づけているそうです。

アクティブに過ごせるレパードキャットの施設

こちらも見にくくて申し訳ないのですが、中央上よりにチラッとレパードキャットが!

ルラちゃんと名付けられたこちらの山猫はリハビリを経て一度リリースされたものの、蛇に噛まれて視力を失ってしまいました。再びレスキューされ、リハビリのため施設に戻ってきましたが、リリース不可能となったのでこの施設で最期までケアされることに。

猛禽ケージではスタッフさんが清掃中

こちらは猛禽類のケージで、トビやカンムリワシがともに保護されています。
ちょうどスタッフさんが清掃中で、鳥たちはおとなしく作業が終わるのを待っていました(笑)

KCCの中国本土での活動

彼らがより力を入れているのが中国本土での野生動物・自然環境の保護活動で、KCCチームは1年の1/3ほどを中国の保護区で過ごします。
森の中でキャンプを続け、絶滅危惧種の個体数や分布エリア、生態についてリサーチを行います。また、どういった社会問題が彼らを絶滅の危機に追いやっているのか、どうやって保護していくのかなども積極的にリサーチしています!

こちらのKCCブックには、彼らの現在進行中の保護プロジェクトについて詳しく書かれています。

海南省では
・ハイナンテナガザル
・ターミンジカ

雲南省では
・ガオリゴンフーロックテナガザル
・サイチョウ(5亜種)
・カワウソ(3亜種)

などをはじめ、他の数多くの絶滅危惧種を守ろうと活動しています!

中国での活動は香港本部のようにKCCの施設などはなく、現場での研究活動のみとのこと。
自然の中で野生動物を見つけるのは難しいことですが、それが絶滅危惧種となるとさらに難易度は上がります。毎回キャンプ生活で粘りつよく絶滅危惧種の姿を探し続けるのはかなりハードなことなんです、とチームの皆さんが口を揃えておっしゃっていたのがとてもリアルで印象的でした。

その他の活動について

直接的な保護活動ももちろん重要ですが、同時に行っているのが認知度を広めるためのワークショップ。

開放感がある綺麗な施設でアートを交えたワークショップを子供達や学生向けに行っています(もちろん大人の方も参加できますよ!)。

アートワークショップを行う施設からは青々した山を見渡せます

国内外の自然を愛するアーティストを招き、生物多様性や健康的なエコシステムの大切さなどを学べます。

ギフトショップ

ギフトショップ

ギフトショップでは敷地内の農地で採れた無農薬野菜やフルーツ、KFBGが出版した絶滅危惧種関係の書物などが販売されています。
通路を挟んだ向かい側はKFBGの歴史を学べるコーナーになっています。

この施設、まだKAAAとして活動していた頃の豚小屋をリノベーションしたものらしく、いまだに個室に分かれているところが豚小屋を彷彿させます!
(この奥ではいまだに豚がいるので、運が良ければ外で日光浴しているブタさんに出会えます!)

中国の絶滅危惧種

近年経済的に急成長をしている国といえば中国ですが、その中国にはまだまだ守るべき豊かな自然環境が残っています!数え切れないくらい多くの固有種も棲息しておりますが、その大部分は絶滅危惧種。有名なジャイアントパンダに加え、上記にも書いたテナガザルやサイチョウ・・・と、リストは続きます。

KFBGの方々も仰っていましたが、認知を広めなければ、どんなに保護団体が頑張っても力不足で自然は失われてしまうし野生動物は次々に絶滅してしまいます。

わたしたちSAMSARAも同じ想いでブランドを始めているので、今回の取材では共感できるお話ばかりでした。それと同時に、KFBGさんのとても行き届いた施設と、10年以上も安定して続けている数々のリサーチプロジェクトに感銘を受けました。
(野生動物の保護プロジェクトはまず資金調達が難しく、種を守る以前にリサーチを続ける事自体が一つの難関なんです。)
いずれ機会があればぜひKFBGさんに協力したい、と思えるような力強い人材が揃ったNGOでした。