5/22 は 国際生物多様性の日

毎年、5月22日は世界的に【国際生物多様性の日】です!

地球上の健康的なエコシステムが徐々に破壊されると同時に生物多様性も失われています。この現状と関わる様々な社会問題の認知を拡大するべく、国連が1993年に制定しました。
(当時は12月29日でしたが、2003年から5月22日に変更されています。)

2019年のテーマ

毎年、国際生物多様性の日にはテーマが決められており、今年のテーマは
“Our Biodiversity, Our Food, Our Health” / 生物多様性と食と健康

私たち人間が健康でいるためには綺麗な飲み水、栄養のある多様な食事、そして澄んだ空気が必須です。これら全ては整ったエコシステムと生物多様性がとても重要になってくるため、私たちにとって身近な食や健康問題から生物多様性について考えよう、という意味がこめられています。

実際問題、過去100年間ですでに90%の作物種と家畜化された動物の50%ほどが絶滅して失われています。加えて、世界の17の主要漁場では持続可能な漁量キャパシティを超えています。

種が減少している問題の他には、テクノロジーの開発によって伝統的な農業が失われていたり、伝統的な食生活や伝統薬も現代文化の発達によって失われています。食生活の変化や伝統薬の有無によって様々な健康被害が世界中で報告されており、国連は近年これらの問題を重要視していることから今年のテーマが決まりました。

今日あなたにもできること

上記リンクにある今年の国際生物多様性の日オフィシャルサイトに、すぐに実践できることがリストになっています。

  • お肉を食べる機会を減らす
  • 季節に合った食材を選ぶ
  • 地産地消
  • 生ゴミを減らす(なるべく食事や食材を残さない、捨てない)
  • 生ゴミコンポストを始める
  • エコバッグや保存容器を使ってパッケージゴミなどを減らす
  • プラカップ、ストロー、ペットボトル等の使い捨てプラスチックは避ける

この他にも例えば

ニホンウナギは絶滅危惧1B類
クロマグロは絶滅危惧2類

なのでこれらを食べる機会を減らす等、少し意識することで生物多様性を守ることに貢献できます!

100万種が絶滅の危機に

今月初め、5月7日にIPBESが発表した3年分の調査結果で、なんと100万種の動植物が絶滅危惧種だそうです!
100万種というと、現在地球に存在する全ての種の約10%にもなります。

詳しい調査結果

発表された調査結果によると:

  • 1900年以来、陸地ベースの生息環境における在来種の多様性は平均20%減少
  • 16世紀から現在までですでに約680種の脊椎動物が絶滅している
  • 2016年までに9%の家畜化された哺乳類が絶滅している
  • 家畜化された哺乳類1000種ほどは現在絶滅危惧種
  • 両生類の40%以上が絶滅危惧種
  • 世界中のサンゴ礁の33%が絶滅危惧種
  • 海洋哺乳類の約33%が絶滅危惧種
  • 昆虫類はおよそ10%が絶滅危惧種(まだまだ調査しきれていない)

絶滅危惧種が増え、生物多様性が失われていく原因

全て人間が原因を作り出しているとのことですが、その直接的な原因トップ5をIPBESがリストアップしています:

  1. 陸と海の利用方法の変化
  2. 人間による生物や環境への直接的危害
  3. 気候変動
  4. 汚染
  5. 外来種の侵略

直接的ではないものの最終的にこの問題に加担している原因として他にあげられているもの:

  • 人口が増えている為、消費も増えている
  • テクノロジーの発展(環境に良い結果をもたらしているものもあれば、悪化させているものもある)
  • 国や個人問わず、管理力と責任への意識の低さ

認知拡大・意識向上の重要性

2010年に愛知県で行われたCOP10(生物多様性条約締約国会議)では2011年〜2020年までに達成すべき20のターゲットが制定されましたが、そのうちの4つしか成果をあげられておらず、今回の調査結果ではほとんどのターゲットは達成できずに期限を迎える可能性があるとのこと。

IPBESはこれらの結果を受けて、改めてローカルレベルでの認知拡大と意識向上がとても重要になってくると訴えています。
国家レベルでの対策ももちろん必須ですが、日々ひとりひとりが貢献できることを少しでも行動に繋げていくことが大きな力となり、こんなにも壊れてしまったエコシステムの修復への可能性が広がります。

大哺乳類展2

そんな中わたしたちは先日国立科学博物館で開催されている【大哺乳類展2】に行ってきました。

【大哺乳類展2〜みんなの生き残り作戦〜】というタイトルの通り、様々な生物がロコモーション・食・子孫を残す観点からどのように進化し環境に適応していくことで、絶滅せずに生き残ってこられたかという点にフォーカスしています。

展示の見所

陸と海の哺乳類合わせて200種ほどの剥製標本が展示されており迫力がありました!全て系統・分類別で展示されています。
見た目は違うのに同じ分類だったり、逆に見た目は似ているのにまったく違う種の動物だったり、思わずじっくりと見入ってしまいます。

哺乳類200種の剥製標本①
哺乳類200種の剥製標本②

これらに加えて、ロコモーションエリアでは骨格標本、エリアでは歯や顎の骨格標本、そして子孫を残すエリアでは生殖器官などの標本が展示されています。

体の動きに合わせて進化した骨の形や、主食の違いによる様々な歯の形、種によって異なる生殖器官の形。それぞれの展示されている標本(特に食エリア)の数も驚くほど多く、解説とともに標本を見比べると生物多様性は豊かな環境を象徴しており、とても尊いと感じました。

SAMSARA的注目ポイント

上記画像に◎してある小さいパネルですが、会場内のいたるところにあります。

「ジュゴンはクジラやイルカよりもゾウに近い仲間なのね!」
など、とても興味深いトリビアが書いてあるので、ぜひ一つ一つ読んでみてください!

そしてそのまま第二会場に進むと、ギフトショップの前に展示エリアがありますが、そちらで去年鎌倉に打ち上げられたシロナガスクジラについての研究解説が展示されています。

漂着したクジラから発見されたプラスチック・ビニールのゴミ

鎌倉シロナガスクジラのDNA解析結果(新しいDNAタイプであると判明!)からみる生物多様性や、解剖で明らかになった海の環境汚染の深刻な実態についてなどを学べます。
近年、世界中で漂着したクジラや海洋生物から出てくる海ごみが問題視されていますが、このように日本国内での事例を詳しく解説しているとより身近に感じられます。

まとめ

様々な生物が環境に適応していく中で、何百万種もの独特な生物に進化を遂げてきました。大哺乳類展で垣間見た生物多様性の偉大さはもはや神秘的と感じるほどでした。
生物多様性とは、いかに私たちの住む世界が豊かな環境や資源に恵まれているかの指標になります。

生物多様性を失うということは、絶滅動物や危惧種が増えるということ。
一見わたしたちひとりひとりには繋がりがないことのように思えますが、実際わたしたちの健康や生活そのものに直接的に影響してきます。人間が健康的に幸せな暮らしを継続するために重要な綺麗な水、空気、そしてエネルギーに変換する命の数々。これらは今、環境破壊によって失われてきつつあります。

まず、豊かなエコシステムを取り戻すことによって生物多様性が守られ、そしてそれがわたしたちの生活の豊かさとして返ってきます。
このライフサイクルを取り戻すことにSAMSARAももっと日々貢献していけるよう、毎日少しずつACTIONを起こしていけるよう心がけています!

毎年5月22日は、ぜひ地球の環境や生物多様性に想いを馳せてみてください!