世界的に話題のディズニー映画LION KINGが8月9日に日本でも公開されましたが、実は昨日、8月10日は【世界ライオンの日】でした!

世界ライオンの日とは、絶滅危惧種であるライオンについて認知度をあげるために決められた記念日です。
こちらのオフィシャルサイト(英語)には、ライオンの保護活動を行っている世界中の保護団体やチャリティー活動について知ることができます。

百獣の王 – ライオン

ライオンは百獣の王と言われますが、その名の通り食物連鎖の頂点に君臨する大型ネコ科動物です。

オスは体長2m越えも珍しくなく、メスは1 .5m前後になります。体重は200kg前後にもなり、記録では270kgクラスのオスライオンがいたとか!
(オスの場合)立派なタテガミもあるため、大きさも一番なのかと思いきや、実はトラが一番大きいネコ科で、ライオンは二番目なのです!

ライオンの種類

例えばトラはスマトラトラやベンガルトラなど、亜種が数種類いることが一般的に知られていますが、ライオンと聞くと、ライオン一種類しかいないイメージだと思います。
実はライオンにも亜種がいて

・Asiatic Lion (panthera leo leo, インドライオン)
・African Lion (panthera leo melanochaita, ライオン)

の2種が最も受け入れられている説です。(これらの亜種の中にさらに数種類ずつ地域亜種が分類されています。)

ライオンの特徴:タテガミ

ライオンの象徴ともいえるタテガミ。
明るい茶色のものから濃い茶色のものまで、いろんなシェードのタテガミがあります。タテガミはだいたい1歳くらいから生え始め、成熟していくにつれて色が濃くなります。

SWCC取材時に訪れたPhoenix Zooにいた8歳のライオンKitambi. 去年8月に亡くなったそうです

・生息地域の天候
・遺伝
・テストステロン量
・性的な成熟度

が主なタテガミの多さ、長さ、色に影響すると考えられています。
毛量が多く、長く、より濃い色のタテガミを持つライオンがもっとも健康的で強いとされています。セレンゲティなどではメスもこういう特徴を持ったオスを好む傾向にあるそうです!

ライオンの特徴:PRIDE

ネコ科の動物は基本的に群れを作ることはないのですが、ライオンは唯一社会性のあるネコ科で、プライドという群れを作って暮らします。
プライドは数頭のオス、複数のメス、と幼獣で形成され、一番強いオスがトップとなりプライドを守ります。

オスの幼獣は生後2〜3年まではプライドにいることを許されますが、いずれ追放されてしまいます。追放されたオスたちはしばらく共同生活をしますが、それぞれ別のプライドを乗っ取ることで自分のプライドを手に入れるのです。

オスライオンにとっては過酷な生涯ですが、こういう争いが続いていくことで強い遺伝子を残していくのです。

プライドにいるメスライオンたちは連携をとって狩りを行います。狩りのほとんどはメスの役目となります。
また、社会性があるので子育てもメスたちが協力して行います。時には育児放棄された幼獣のお世話もするとても愛に溢れた動物なのです!


プライドの縄張りが広く頭数も多い場合は、プライドの中でさらに少数のサブプライドを形成して暮らすこともあります。

絶滅危惧種としてのライオン

IUCNレッドリストでは VU 絶滅危急種 に分類されていますが、インドライオンに関してはもう一つ危険度が高い EN 絶滅危惧種 なのです。

元々ライオンはアフリカやインドのみならず、ヨーロッパやアメリカ含め世界中に分布していました。開発や環境破壊によってライオンに適した環境が減少していくとともに、バーバリーライオンのように数々の地域亜種が絶滅していきました。

現在はアフリカがメインの生息地域ですが、国立公園や保護区域のみにしか生息していません。過去20年間でおよそ30%〜50%も生息数が減少しています。

インドライオンに関しては元々の生息数が少ないことと、インド内での生息範囲が狭いため、ENに指定されているのです。実際の所、研究があまり進んでおらず、インドライオンの現状についてはまだ詳しくは知られていないそうです。

危惧種になった原因

主な原因は、他の動物にも当てはまることですが:

・環境破壊
・生息地の減少
・違法取引(体の一部や幼獣)
・トロフィーハンティング

があります。

2015年にセシルというジンバブエの国立公園に住むオスライオンがハンターによって射殺されたのが記憶に新しいと思います。
セシルはこの国立公園の名物ライオンであり、研究対象にもなっていた特別なライオンでしたが、トロフィーハンティングの犠牲になってしまいました。

違法取引やハンティングの規制は近年もっと注目をあびていますが、どんなに行政が規制をかけたとしても、現地民の協力なしには成立しません。
問題になっているのが、ライオン含め、野生動物の生息地域に住む現地民への教育です。彼らが野生動物を守ることの大切さを学べば、ハンターとの癒着も減り、動物たちへの脅威も減るはずです。
しかし現実的に、豊かな暮らしを求めている人々にとって、珍しい絶滅危惧種というのはビジネスチャンスになってしまうのです。

現状を改善するためには動物にとっての環境整備だけではなく、人々の安全で安定した暮らしを守ることも大切なのです。

オススメ映画 LION KING

最後に少し明るいトピックは映画LION KINGについて。

すでにアニメ版を観たことのある方は内容を知っていると思いますが、ライオンキングはただのライオンが題材のアニメではありません。
健康的なエコシステムを守ることの大切さ、全てが程よいバランスの上で成り立っているということを「ライオンからの視点」に見立てて伝えています。

SAMSARAは、人間の手によって壊されてしまった健康的なエコシステムという命のサイクルを再び取り戻したい、という思いから、未だ蔑ろにされてしまっている絶滅危惧種の保護にフォーカスを置いています。

なのでライオンキングにはとても共感できる部分がたくさんあり、昔からとても思い入れのある映画なのです!

お盆休みにぜひ、絶滅危惧種の動物たちのことを想いながらライオンキングを観に行ってみてください!