PRAY FOR AMAZON キャンペーンで紹介したアマゾンカワイルカ。
ピンク色の刺繍が目を引きますが、中には実際全身ピンクになる個体もいるんです!
カワイルカとは?
イルカといえば海に棲む哺乳類ですが、淡水、あるいは淡水と海水が交わる河口などを好む種類のイルカのことをカワイルカ上科と呼びます。
カワイルカ上科は複数の亜種で構成されています:
・アマゾンカワイルカ
・ボリビアカワイルカ
・ガンジスカワイルカ
・インダスカワイルカ
・ラプラタカワイルカ
・イラワジイルカ(カワゴンドウ)
・ヨウスコウカワイルカ (2002年に絶滅したと予測されています)
(Araguaian River Dolphinはまだ公式に亜種として認められていない新種です)
カワイルカ上科に属する亜種は全て絶滅危機種か絶滅危惧種に指定されており(クジラ目の中で一番絶滅が危惧されている科)、ヨウスコウカワイルカは唯一人間の行いが原因で絶滅してしまったイルカと言われています…!
ちなみに、アマゾンカワイルカはカワイルカ上科の中で最も大きい亜種で平均2.5m、およそ180kgにまで成長します!
アマゾンカワイルカの身体的特徴
アマゾンカワイルカ含め多くのカワイルカは共通の身体的特徴を持っています。
淡水に適応した特徴や、まだ解明されていない独特な特徴など様々です。
別名ピンクドルフィン
彼らは身体の色がピンクになることから別名ピンクドルフィンと呼ばれています。生まれる時はグレーですが、成長するにつれてピンクが濃くなります。特にオスがピンクになる傾向にあり、ピンクの範囲が広いあるいはより鮮やかな個体ほど繁殖期に優位になります。
皮膚がピンクに変わる確実な理由は突き止められていませんが、オス同士の喧嘩による傷跡がピンクに変色するのでは、と言われています。また、元は白っぽい色ですが血管の色が透き通ってピンクに見える、という説もあります。
アマゾンカワイルカに限らず、ウスイロイルカ属の海洋イルカも同じようにピンクになります。
細長いくちばし
アマゾンカワイルカ含めほとんどのカワイルカは、海水に棲むイルカより細長いクチバシを持っています。
長いクチバシはカニなどの獲物を泥から掘り出すのにとても便利な形状で、エコロケーションと合わせて使います。
彼らが棲むアマゾン川流域やオリノコ川流域などでは雨季に洪水を起こすため行動範囲が周辺の森へと広がります。たくさんの木々の間をぬって泳ぐのにも細長いクチバシが便利になってきます。
可動範囲の広い頭
アマゾンカワイルカやその他カワイルカの写真を見ると、やたらと首回りが柔らかそうで様々な角度に向いていませんか?
カワイルカの多くは頚椎が固定されていません。
そのおかげで海洋イルカより広い範囲で首を動かすことができるんです!細長いクチバシと柔軟な頭部を利用することで、水中植物の多い川の中を上手いこと泳ぐことが可能になります。
背びれが退化
アマゾンカワイルカ含め多くのカワイルカは背びれが小さく退化しています。
大きな背びれを持っていると植物に絡まりやすいため、特殊な環境に適した結果なんです。
特徴的な性質
季節ごとの棲み分け
雨季になると川の水が溢れて周辺の森が大洪水になります。
この時期、オスたちは川にとどまることがほとんどで、メスと幼獣たちは洪水した森を拠点に生活します。
乾季の間はまったくこのような棲み分けはなく、オスもメスも共に川に棲みます。そのため、繁殖活動が活発になるのも乾季です。
繁殖期の不思議な行動
身体のピンク色が鮮やかなほどメスに人気になる傾向がありますが、メスの気を引くために求愛行動も行います。
オスは泥だんごや木の枝を空に向けて咥えたり、上に投げたり、水面に叩きつけたりしてメスにアピールします。なんと、時にはカメを咥えてこういった行動を行うことも…!
この独自の行動はメスに向けた直接的な求愛行動なのか、他のオス(競争相手)に対する行動でそれにメスが惹かれてくるのかがまだ解明されていません。
レッドリスト:絶滅危惧種
IUCNレッドリストでは Endangered / 絶滅危惧種 に指定されています。
2008年にIUCNが行ったリサーチでは情報不十分として分類されてしまいましたが、現在はリサーチが進み、それぞれのカワイルカ亜種が絶滅寸前種・危惧種・危機種に分類されています。
水質や背びれの見分けにくさからはっきりとした数はわかっていませんが、数万頭はいると推測されています。
とはいえ、棲息範囲が限られているため棲息数もそこまで多くはなく、様々な問題によって棲息数は減少傾向にあることは間違いありません!
アマゾンカワイルカが直面している問題
1)展示のための捕獲
アマゾンカワイルカはカワイルカ上科の中で唯一捕獲され展示されているカワイルカです。現在はヴェネズエラ、ペルー、とドイツにそれぞれ1頭ずついますが、1950年代から70年代にかけては数百頭が捕獲され、日本含め世界中の水族館や研究施設に送られました。
しかし、カワイルカはマイルカ科(海水に棲むいわゆるイルカ)と違って飼育化での寿命がとても短く、当時捕獲された個体のほとんどがすぐに死んでしまいました。
2)環境破壊
水質汚染のみならず、ダムの建設による環境破壊もアマゾンカワイルカにとって脅威となります。近年アマゾン川流域ではダム建設ブームが到来しており、すでに稼働中、建設中、あるいは建設予定の水力発電ダムが数百カ所ほどあります。
2015年に完成したベロモンテダムは世界で4番目の規模のダムで、およそ260平方メートルの平原や森を水没させ、20,000人ほどの先住民を強制退去、そしてなんと500種もの固有種が存在するエコシステムを破壊してしまいました。
アマゾンカワイルカは流域を広範囲に移動しますし、大型哺乳類のため棲息可能範囲が限られてしまうと繁殖活動も制限されてしまいます。生態系も変わってしまえば食生活などにも影響してしまい、様々な問題が発生します。
3)漁網事故やナマズ漁の餌としての捕獲
アマゾンカワイルカは漁網事故が多いです。他のイルカの亜種同様に、一度網に巻き込まれてしまうとリリースすることは難しいので殺されてしまいます。
また、町で高値で取引されるスポテッド・ピニランプス(ナマズの一種)を釣るためにアマゾンカワイルカが乱獲され、残酷な殺され方で餌として利用されます。一昨年コロンビアではアマゾンカワイルカを保護するために、このナマズの取引を全面的に禁止しましたが、他の南米国ではいまだに行われています。
アマゾンカワイルカを守る団体
アマゾンカワイルカを専門的に保護している団体はごくわずかで下記2ヶ所があります。まだまだ知られていない絶滅危惧種なので研究に力を注ぎ、情報を広めることで認知度を高める活動を行っています。ドネーションも募集しています。
Amazon River Dolphin Conservation Foundation
2014年から活動しているNPO団体で、主に研究と教育を通してアマゾンカワイルカを保護しています。2020年にはアマゾンカワイルカと周辺環境・文化のリサーチツアーを企画しており、参加者募集中だそうです!
Whale and Dolphin Conservation
30年間クジラやイルカを専門に世界中で保護活動を行っている団体です。捕鯨禁止、環境改善、漁網事故の減少など様々な角度からアプローチしています。
Amazon River Dolphin Items
SAMSARA CAP(ブラック・ベージュ)
UPCYCLE KEY HOLDER(マルチカラー)
今後アマゾンカワイルカのアパレルもリリース予定ですのでお楽しみに…!